(PHP 4, PHP 5, PHP 7, PHP 8)
crypt — 文字列の一方向のハッシュ化を行う
この関数は (まだ)バイナリデータ対応ではありません!
crypt() 文字列のハッシュを返します。 Unix 標準の DES ベースのアルゴリズムか、 代替のアルゴリズムを使用します。 password_verify() は crypt() と互換性があるので、 crypt() が作ったパスワードハッシュは password_verify() でも使えます。
PHP 8.0.0 より前のバージョンでは、salt
パラメータは必須ではありませんでした。ただ、これを省略すると crypt() が作るハッシュが弱いものになってしまっていました。 このパラメータを省略した場合には、E_NOTICE が発生していました。 十分に強い salt を指定して、セキュリティを確保しましょう。
password_hash() は、強力なハッシュを使い、強力なソルトを生成して、それを複数回自動的に適用します。 password_hash() は crypt() のシンプルなラッパーであり、既存のパスワードハッシュと互換性があります。 password_hash() を使うことを推奨します。
ハッシュ方式は、salt 引数によって決まります。 salt を省略した場合は、標準の 2 文字 (DES) の salt を自動生成します。 あるいは、MD5 crypt() が使えれば 12 文字 (MD5) の salt を自動生成します。 PHP の定数 CRYPT_SALT_LENGTH
には、 ハッシュで使用できる salt の最大長が格納されています。
標準の DES ベースの場合、crypt() は出力の最初の 2 文字を salt として使用します。また、 string
の最初の 8 文字しか使用しません。 つまり、最初の 8 文字が同じである長い文字列は、 同じ salt を使う限り同じ結果となります。
以下のハッシュ形式がサポートされています:
CRYPT_STD_DES
- 標準の DES ベースのハッシュで、 アルファベット "./0-9A-Za-z" からなる 2 文字の salt を使用するもの。 salt として無効な文字を使うと crypt() は失敗します。 CRYPT_EXT_DES
- 拡張した DES ベースのハッシュ。 "salt" は 9 文字で、 アンダースコアの後に 4 文字の反復回数と 4 文字の salt が続きます。 これらの4文字それぞれが、24ビットにエンコードされ、 下位の文字から順に並びます。 0
から 63
までの値は ./0-9A-Za-z
の範囲内の文字でエンコードされます。 salt に無効な文字を使うと crypt() は失敗します。 CRYPT_MD5
- $1$ ではじまる 12 文字の salt を使用する MD5 ハッシュ。 CRYPT_BLOWFISH
- Blowfish ハッシュ。salt の形式は、 "$2a$" か "$2x$" あるいは "$2y$"、2 桁のコストパラメータ、"$"、そして文字 "./0-9A-Za-z" からなる 22 文字となります。 この範囲外の文字を salt に使うと、crypt() は長さゼロの文字列を返します。 2 桁のコストパラメータは反復回数の 2 を底とする対数で、 これは Blowfish ベースのハッシュアルゴリズムで使います。 この値は 04 から 31 までの範囲でなければならず、 それ以外の値の場合は crypt() は失敗します。 "$2x$" ハッシュは潜在的に弱いハッシュです。 "$2a$" ハッシュはこれと互換性があり、この弱点を軽減します。 新しくハッシュを生成する場合は、"$2y$" を使うべきです。 CRYPT_SHA256
- SHA-256 ハッシュに $5$ で始まる 16 文字の salt を組み合わせたもの。salt 文字列が 'rounds=<N>$' で始まる場合は、数値 N がハッシュループの実行回数を表します。 これは Blowfish のコストパラメータのようなものです。 rounds のデフォルトは 5000 で、1000 から 999,999,999 までの値を指定できます。 この範囲外の N を指定すると、近い方の境界値に切り詰められます。 CRYPT_SHA512
- SHA-512 ハッシュに $6$ で始まる 16 文字の salt を組み合わせたもの。salt 文字列が 'rounds=<N>$' で始まる場合は、数値 N がハッシュループの実行回数を表します。 これは Blowfish のコストパラメータのようなものです。 rounds のデフォルトは 5000 で、1000 から 999,999,999 までの値を指定できます。 この範囲外の N を指定すると、近い方の境界値に切り詰められます。 string
ハッシュしたい文字列。
CRYPT_BLOWFISH
を使うと、 string
が最大 72 バイトまでに切り詰められます。
salt
ハッシュのもととなる salt 文字列。省略した場合の挙動は アルゴリズムの実装によって決まるので、予期せぬ結果となることがあり得ます。
ハッシュした文字列を返します。 失敗した場合は、salt とは異なることが保証されている 13 文字未満の文字列を返します。
パスワードを検証するときの文字列比較関数は、 タイミング攻撃に対して脆弱ではないものでなければいけません。 これをもちいて、crypt() の出力と既知のハッシュとを比較します。 この比較を行うために、hash_equals() 関数が使えます。
バージョン | 説明 |
---|---|
8.0.0 | salt は、オプションではなくなりました。 |
例1 crypt() の例
<?php
$user_input = 'rasmuslerdorf';
$hashed_password = '$6$rounds=1000000$NJy4rIPjpOaU$0ACEYGg/aKCY3v8O8AfyiO7CTfZQ8/W231Qfh2tRLmfdvFD6XfHk12u6hMr9cYIA4hnpjLNSTRtUwYr9km9Ij/';
// PHP 以外のソフトウェアと互換性がある方法で、既存の crypt() ハッシュを検証します
if (hash_equals($hashed_password, crypt($user_input, $hashed_password))) {
echo "Password verified!";
}
?>
注意: 復号するための関数はありません。 crypt() が使用しているのは単方向アルゴリズムだからです。